今回の旅ではエドワード・ヤンの遺作にして2000年にカンヌ国際映画祭で監督賞を受賞した『ヤンヤン 夏の思い出』のロケ地(台北)を巡ることにしました。
20年以上前の作品。果たしてロケ地は残っているのか…?
行ったのは合計4ヵ所。
事前に作中カットをスマホに記録して、現場で照らし合わせながら巡りました。
本当に感動したので、今回はその模様をシェア!
『ヤンヤン 夏の思い出』ロケ地巡りレポート
結婚式会場
冒頭の結婚式シーンでロケ地になったホテル「圓山大飯店」。
圓山大飯店は1952年に蒋介石の夫人・宋美齡氏が建てた、台湾第1号の5つ星ホテルです。日本で例えると帝国ホテルのような台北で最も格式の高いホテルといえます。
ロビーを見るだけでも価値あり!な内装です。
ヤンヤンが女の子達にいじめられてるシーンのカットと同じような角度から撮影してみました。絨毯の柄がちょっと違いますが、概ね同じです。
ヤンヤンと父NJが初恋の人シェリーに偶然遭遇するエレベーター前。2023年現在も当時のままです。
念のためホテルに問い合わせましたが、宿泊しなくても誰でもロビー見学は自由とのこと
ちなみに、圓山大飯店には空襲の際に設営された避難用地下トンネルがあり、現在は一般公開されてるということで話題になっています。
地下トンネルはホテルの東側と西側に1本ずつあるそうで、ツアーを申し込めるそうですが、東側のトンネルは夜間も開放しているそうです。
NJ一家のマンション前の高架下
作品後半に悲惨な結末を辿るリーリーの元彼が、リーリーをけなげに待ち続けた高架下です。
地下鉄(MRT)の「台電大楼駅」から徒歩5分ほどの場所です。撮影に使われたマンションも、本当に渡ってすぐの所にあります。
20年以上前ですし、様変わりしてしまっている部分も多かったですが、なんとか見つけました。
作品をよく見ると元彼の足下のレンガにスプレーで「58」と書かれているのですが、草をめくると当時のままの落書きが!
これは本当に感動した…
NJ一家のマンション
舞台となったマンション。
映画では近距離の設定でもカットが変われば全然別の場所でロケすることも多いですが、マンションも高架下も、すごくリアルな距離感。すぐ目の前でした。
※住民の方々が大勢おられるので、ご迷惑にならないように、くれぐれもご注意ください。
ヤンヤンが通う小学校
こちらの小学校もマンションや高架下からすぐの場所にあります。
日曜日に行ったので、もともと開放されているようでしたが(台湾の学校は土日は開放されていることが多い)、念のため事務所にいた警備員のおじさんに建物内に入る許可を頂いて、少しの時間見学させてもらいました。タイミングによっては入れない場合もあるかもしれませんので、ご注意を。
コンドームっぽい風船を廊下で振り回して怒られるシーンが印象的ですが、そのシーンの廊下が1階にありました!当時と全く同じで本当に感動しました・・・。
この辺りは偏差値の高い学校が多く、治安が良く、教育熱心な台北の富裕層が多く住む地域だそうです。
NJの娘のティンティンも優秀な高校に通う女子高生という役柄。ロケ地の選定ひとつとっても、エドワード・ヤン監督のリアルに対するこだわりが感じられました。
『ヤンヤン 夏の思い出』ロケ地マップ
ホテル「圓山大飯店」だけ少し離れていますが、その他のロケ地はほとんど地下鉄(MRT)「台電大楼駅」周辺ですので、散歩がてらに『ヤンヤン 夏の思い出』の空気を感じに行くのも、粋な台北旅行になるかもしれません。
『エドワード・ヤンの恋愛時代』のロケ地について
30年前・・・ロケ地はまだある?
2023年現在、4Kレストア版が上映され話題沸騰中の『エドワード・ヤンの恋愛時代』は1994年公開(30年前)ということで、かなり時間が経っており、ロケ地として残っている場所も少ない状況です・・・。
『エドワード・ヤンの恋愛時代』のロケ地といえば、最後のセリフ「次はフライデーズでコーヒーでも」が印象的なロケ地「フライデーズ」。
2018年頃に行ってみましたが、さすがにもう90年代以前のロケ地巡りは厳しかったようです・・・。現在は「S HOTEL」というホテルになっています。
これは残念だったね
チチとモーリーのように、女友達とお茶してみたかった・・・
まとめ
今回、実際に行ってみて、聖地巡礼は早めに行かないと後悔することも多いなぁ…と実感しました。思い立ったらぜひ、早めに行ってみてください!